コグニティブな連携って?~私の夢想 その1
その2
その3
その4
その5
その6

    ジョン・レノンの例え話というのは、記事に一言もそう書かれていなくても、ジョン・レノンの記事に「ビートルズ」というタグが付与されるという話。AIが類推して、関連するキーワードを拾ってくれ、索引やカテゴリに設定してくれるというものだった。

1997年の現地に着いたとき、それより未来の記事は消した、と申しました。だから時事DBには1997年7月より前の記事しか残ってないんだけど、でも、索引付けは変わってなかったんです。

索引は出かける前にこちらで作ったものだった。ということは、富士山とか三保の松原という記事をみて、2033年基準で「世界遺産」っていうタグ情報をWatsonのAIがくっつけてくれたままだったわけですね。

だからもし今後、過去に旅することがあれば、Watsonが索引付けに使う知識も旧い情報だけに絞っるような手立てが必要になるよ、というのが今回のちょっとした反省です。でもまあ短い期間でしたし、この程度で済んでよかったです。

え、向こうで何日、過ごしたか、ああ、何泊したのかというご質問でよろしいですか。はい。
3泊4日です。念のためいうと、現地でも、こちらから見ても3泊4日です。こちらの7月11日に出かけて、現地で3泊したあと、7月14日に戻りました。
現地で何泊しようと、例えば出かけた11日のうちに戻ることも可能なんですが。
それは、なんとなく…私自身も、自分の本来の時間に戻らないのは落ち着かないですし、
プロジェクト内でも経理処理上困るのではないか、という話になりました。
出かけた当日に戻ってしまうと、現在から見れば1泊もしてないコトになります。
それではその期間の勤務報告書がどこにもつけられなくなってしまうと。
そうすると、タイムトラベルの期間は、勤務上はタダ働きにされてしまうわけですよ。

なので、行って戻ってくるのに要した同じ時間分できっちり戻ってきて、つじつまを合わせました。
それで、部門内の勤務報告上は4日間の出張扱いでオーケーでした。

でも、出張費の精算ではちょっと面倒がありました。
経理が、宿泊したなら、宿の領収書があるかというので、そういえばチェックアウトの時に貰ったものを出しましたが、怪訝な顔をされまして。
…領収書には「1997(平成9)年7月」って日付が書かれてたんですね。
事情を説明しても、今年のじゃないと通せないと怒られました(笑)

今回のプロジェクトを承認した役員から経理に話して貰って、なんとか通して貰えたときいています。監査が入ったら説明がつかないと、かなり渋られたそうです。

そんな事もあって、会社の関係者で、本当に私が過去に行ってきたのかと現在の軽井沢に調べに行った人もいました。
泊まった宿は、もう子どもの代に代わっていて、でも今もまだ営業しているそうです。当時住み込みのバイトだった静岡や関西の子のことは、当時子どもだった今の経営者がかすかに覚えているくらいで、もう知る人は見当たらなかったそう。

私には、まだ向こうでの記憶が新鮮なので、そういわれてもなんとなく胸に落ちないんですが。

先日、その人が軽井沢から戻ってきて、私を訪ねてきました。そして聞くんです。あなたは昔の軽井沢で、何か書きものは残さなかったのかと。
「書きもの?」と聞くと、例えば思い出を宿のノートに書いたりはしなかったかと。
そういえば、宿には思い出ノートというのが置いてあったのですが、とくに自分はなにも書きませんでした。そう伝えるとガッカリして、そうか、この中にあなたが書いたものが残ってれば何か証拠になるのではと、宿からそのころの日付のノートを借りてきたのだが、無駄だったね。
取り出して見せたのは、その思い出ノートです。
「わあ見覚えあります。こないだ見たときは、もっときれいなノートだったのに
 ただ、僕は何も書かなかったんですよ」
「そうですか、残念」としまおうとするその時、ちょっと頭で一瞬稲光りが走りました。
「ちょっと待って!」と、押しとどめると、
自分の机の中から、ファイルに入った一枚の紙を取り出して、それからノートのページをめくりました。
私が持っていた紙は、温泉とバス停と、それを結ぶ線上に、カタツムリの絵がある、関西の子が描いてくれた絵地図です。
「あった、ここだ」
ノートの途中にページを破いた跡が残っていて、私の絵地図をそっと重ねると、破れ目がぴたりと一致しました。
絵地図の方は紙がまだ白く新しく、ノートの方は33年分を経て少し茶色く変色しています。だのに破れ目が合っているのをみて、会社の人が、持ってきてよかったといいながら、私の手を握りました。
私もその時初めて歳月を経過を目の前にした気がしてじんときましたね。

    講師はここで少し間を置いて、そこで初めて場内の時計に目をやった。
    時計が示してるのは、33年の歳月とは紐づかなそうな、ほんのわずかな経過にすぎないけど。

さて、もう少し現地であった人とか、出来事とかのエピソードお話できればよかったんですが、時間が来てしまいましたね。続きはこのあとよろしければ「反省会」でお話しますので。

そういえば軽井沢の宿の談話室にも、夜になると「さあ反省会だ」っていい出す常連さんがいて…、「反省会」っていえばアルコールが出てくるのは、昔も今も同じみたいです。